2016/03/22

「ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉」@東京都庭園美術館

「ガレの庭」チラシ

東京都庭園美術館で開催のエミール・ガレの展覧会「ガレの庭」。
ちょっと気になっていたところ、招待券をいただいたこともあり行ってみました。

アール・デコ様式の邸宅美術館でアール・ヌーヴォーを代表するガレの展覧会とは、なかなかの趣向。といっても特に違和感もなく、優美な邸宅で美しいガラス作品をたくさん見ることが出来たわけですが。

ガレと言えば、去年の夏にパナソニック汐留ミュージアムでの「アール・ヌーヴォーのガラス展」で作品を結構見ているのだけど、その展覧会ではドーム兄弟や他の作品の方が印象に残っているような・・・。

でも今回は展示の仕方や会場の雰囲気も相まって、印象に残る作品が多々ありました。
惜しむらくは作品リストがなかったことでしょうか。大半は長野県にある北澤美術館の所蔵品のようでしたが。

ガレの作品(というよりアール・ヌーヴォーのガラス作品全般に言えることかもしれませんが、植物や昆虫や鳥、その他さまざまな生物をモチーフとしているものが多く見られます。
花の場合はその姿を描くだけでなく、花びらやつぼみを型どった作品もありました。

今回は一部、デザイン画とそれに一致する作品を同時に展示しているところが興味深かったです。デザイン画はオルセー美術館所蔵のもののようでしたが、このような展示方法は珍しいようです。

チラシ裏にもデザイン画が一部紹介されていました。

「ガレの庭」チラシ裏

向かって左側のデザイン画は「脚付杯 ひなげし」のもので、実際の作品は写真の通り。
本当にそのままですよね。それと、写真で紹介されている「脚付杯 ひなげし」の隣の渋い色合いの作品は「ひとよ茸文花瓶」です。

わかりにくいですが、花瓶の表面に「ひとよ茸」が描かれています。
ひとよ茸は成長すると一夜にして液化して溶けてしまうキノコだそうで。
ガレの作品では展示はされていませんでしたが、ひとよ茸のランプも有名ですね。

今回知ったのですが、ひとよ茸のランプで現存するものは3つだけで、そのうち2つが日本にあるとのこと。何だかすごい。(1つは北澤美術館、もう1つはサントリー美術館にあるそうです)

さて、この展覧会で印象に残った作品は多々あれど、褐色スモークガラスを使った作品、月光色ガラスを使った作品、ジャポニズムのコーナーにあった作品などが意外性があり、ひときわ印象深かったです。

褐色スモークガラスも月光色ガラスも透明度があり、これまでの私の中のイメージにあったガレの作品というとマルケットリーという技法でガラスを重ねて装飾していたり、不透明な色のガラス作品の印象が強かったので。

特に月光色ガラスはブルーがかった美しいガラスで、あとでガレについて調べた時に酸化コバルトによる発色だと知りました。「酸化コバルト」って語感がカッコいい。

そしてジャポニズムの作品群は淡いグリーン地に、雪が積もる笹にスズメがとまる風景がデザインされていたりして、風情のある作品でした。そのグリーンのガラスはウランガラスで、ちょっとフロスティーな雰囲気もあり、良かったです。

展示は新館まで続き、映像も流れていました。(確か上映時間は14分30秒)
映像ではエミール・ガレだけでなく、ドーム兄弟やルネ・ラリックなどについても紹介していました。

グッズや書籍も販売されていて、ポストカードなども最初は買う気がなかったのですが、作品そのものではなく、作品のモチーフをデザインしたポストカードが気になり2枚だけ購入。

「ガレの庭」ポストカード

淡いグリーンの方は「伊万里風縁飾水差」の柄の一部をデザインしていて、淡いピンクの方は「レンギョウに蝶文ランプ」と「脚付杯 ひなげし」の柄の一部がデザインされています。

東京都庭園美術館の文様を生かしたオリジナルグッズも販売されていたのが目にとまりました。旧朝香宮邸であるこの建物では窓や通気口などに美しい意匠が施されているのですが、それを「たてもの文様」として、グッズなどのデザインにしていたので。

種類はそれほどなく、クリアファイルや一筆箋、メモ帳など定番グッズをそろえていましたが、個人的にはチケットホルダーが見当たらなかったのが残念で。
美術館ということもあるので、ぜひ美術館オリジナルグッズに加えていただきたいところ。
ご検討よろしくお願いいたします。

●ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉
 会 期: 2016年1月16日(土)~2016年4月10日(日)
 会 場: 東京都庭園美術館(本館・新館)
 時 間: 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
 観覧料: 一般 1,100円
 http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/160116-0410_galle.html