2015/02/24
「ルーヴル美術館展 日常を描く - 風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」@国立新美術館
国立新美術館にて開催中の「ルーヴル美術館展」に行ってきました。
ルーヴル美術館展は毎年のように開催されているような印象がありますが、個人的には2005年の横浜美術館以来なので、約10年ぶりになります。
今回の「ルーヴル美術館展」は、人々の日常を描いた風俗画を約80点展示。
実は初日に行きました。
夕方(閉館1時間半前くらい)なら多少は落ち着いているかなと思って行ってみたのだけど、ちょっと考えが甘かったです。
行き交う人々が目の前でどんどん会場入口に吸い込まれていく光景を目の当たりにしました。しかもなぜかカップル多し・・・。
が、いざ中に入ってみると絵が見れないほど混雑しているわけはでなく、入ってすぐあたりと初来日の「天文学者」のところが混んでいる感じでした。
全体的にあまり大きくない作品が多かったような気がします。
なので、小さい作品をじっくり見ようとするとちょっと大変なところもありかな。
話題のフェルメールの「天文学者」も思ったよりもサイズが控えめでして、周りにいるお客さんがなかなか動かなくて、間近でゆっくり見るのは困難でした。人の流れとタイミングが良ければラッキーと思った方がよいでしょう。
ところで「天文学者」と言えば、2011年にBunkamuraミュージアムでの「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」に展示された「地理学者」(私は未見)と対になっているという話がありますが、サイズも同じくらいなのかな~?と思って調べてみたら、「地理学者」の方がほんの少し大きいだけで大差ないことがわかりました。
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「天文学者」⇒ 51×45cm
制作年:1668年頃/所蔵:ルーヴル美術館(パリ)
「地理学者」⇒ 53×47cm
制作年:1668年 - 1669年/所蔵:シュテーデル美術館(フランクフルト)
-- ※以上、Wikipediaを参照 ---
さて、今回の「ルーヴル美術館展」で、
印象に残った作品をいくつか挙げてコメントしてみたいと思います。
(展示作品リストに掲載順)
「アモルを売る女」 ジョゼフ=マリー・ヴィアン
アモルというのはキューピッドですね。
女が羽の生えた小さな子供のようなアモルをお客に差し出して、
売ろうとしている光景が描かれていました。
えーっ?キューピッドって売ってもいいの?買う人いるの?
これはペットとしてなのだろうか?など、いろいろ思ってしまった。
あと、アモルの羽が赤や青で意外とカラフルだったのも印象的。
「抜歯屋」 ヘリット・ファン・ホントホルスト
抜歯屋というのはモグリの歯医者になるのでしょうか。
抜くのだけならあまりお金をかけたくないと思う庶民を狙った隙間産業だったのかも。
抜歯屋が描かれた作品が2つ並んでいたのですが、
患者の不安と恐怖が伝わってきそうなインパクトのあるこちらを。
「物乞いたち」 ピーテル・ブリューゲル1世
この作品は小さいのですが、よく見ると不思議な印象だったので。
Wikipediaのブリューゲルの項目でも紹介されていた作品なのですが、
タイトルは「足なえたち」となっていました。確かに・・・。
ブリューゲルと言えば、どこかで大規模なブリューゲル展をやらないだろうか?
その時には、「バベルの塔」全バージョン、「ネーデルランドの諺」、
「雪中の狩人」が展示されると嬉しい。何度も観たくてリピートするかも。
「物乞いの少年(蚤をとる少年)」 バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
この作品は学生時代の美術の教科書か副読本に掲載されていたかもしれないという記憶。
光の当たり方が印象的。
写実的な作品の中で、少年の足元に目をやると何やら物体があり、どうやら食べかすらしい。
(パッと見た時には、虫かと思った)
どうやらこの時代は蚤がいることが当たり前だったらしく、
他にもジュゼッペ・マリア・クレスピによる「蚤を取る女性」という作品がありました。
「鹿狩り」 パウル・ブリル
狩りをするということは日々の暮らしの中で日常的なことだったらしく、
狩りをテーマにした作品がいろいろありました。
チラシの中ではアンニーバレ・カラッチによる「狩り」が紹介されていましたが、
会場で並べるように展示されていたパウル・ブリルの「鹿狩り」は色がきれいで
印象に残りました。ポストカードでもあったら買っていたかもしれませんが、
残念ながら関連グッズはひとつもありませんでした。
狩りと言えば、鷹狩りとか鹿狩りなら想像もつくのですが、「象狩り」という
作品もあってちょっとビックリ。しかもすごい迫力の絵で額縁もすごかった。
(「象狩り」はシャルル・パロセルの作品)
「オダリスク」 フランソワ・ブーシェ
室内だと木造家屋だったり屋外だと土があったりして、日常を描くと
どうしても土気色が多くなってしまう中で、ブーシェの「オダリスク」に描かれた
青い布や白い肌は、その一角においてひときわ明るい色彩を放っていました。
「猿の画家」 ジャン・シメオン・シャルダン
「サル真似かよっ!」と近くにいたお客さんが、小さな声で突っ込んでいました。
猿の画家を描いた作品が2つ並んでいましたが、チラシの中でも紹介されている
こちらを。この猿は帽子をかぶり服を着ていましたが、白い毛が見えていて、
「母をたずねて三千里」に出てくるアメデオと同じ種類なのかな?と思いました。
と、他にも「天文学者」を含めいろいろありましたが、キリがないのでこのへんで。
そういえばコナン君バージョンのジュニアガイドと音声ガイドがありました。
ジュニアガイドはTAKE FREEなら大人でもいただいてしまいますよね。
ジュニアガイドでは、「天文学者」、「両替商とその妻」、「鏡の前の女」、「物乞いの少年(蚤をとる少年)」をみんなでチェックしています。コナン君わりと好きなので、普段は音声ガイドを借りることがない私ですが、今回はちょっと心が動かされました。(結局借りなかったけど)
最後にグッズですが、天文学者にかけて天文グッズも多かったような。
図録は2種類あったけど、オルセーの時のようなミニ図録はなしでした。
さて、次の「ルーヴル美術館展」はいつどこで開催されるのでしょうか。
テーマも変わると思うので楽しみに待ちましょう。
●「ルーヴル美術館展 日常を描く - 風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」
会 期: 2015年2月21日(土)~2015年6月1日(月)
会 場: 国立新美術館
観覧料: 一般当日 1,600円
公式サイト: http://www.ntv.co.jp/louvre2015/