2015/05/16

「ベスト・オブ・ザ・ベスト」@ブリヂストン美術館

ブリヂストン美術館「ベスト・オブ・ザ・ベスト」ガイド

ブリヂストン美術館のコレクション展「ベスト・オブ・ザ・ベスト」
これは今年行って良かった美術展パート2になりました。(このあいだの「グエルチーノ展」の記事にもそんなことを書いたばかりですが・・・)

会場であるブリヂストン美術館はビルの新築工事のため、この展覧会をもって数年にわたり閉館してしまいます。

実は私、何を隠そうブリヂストン美術館に行ったのは今回が初めてでした。
つまり閉館前にして、最初で最後の訪問となったわけです。

今までも2011年の「青木繁展」や2013年の「カイユボット展」など、行ってみようかな~と思う展覧会はあったのですが、結局行かないままで終わってしまうパターンが常だったのです。

今回は会期途中で展示替えがあり、後期(3月31日)から青木繁の「わだつみのいろこの宮」や「海の幸」が展示されるとのことで、閉館前に行ってみる気になったのでした。

チラシは確か最初の頃にはセザンヌの「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」が使われ、タイトル帯は黄色でした。

一度どこかでそのチラシをいただいてきた記憶があるのですが探しても見当たらなかったので、最初に掲載した画像はチラシではなく、会場でいただいた冊子(ガイドブック)に使われていたものです。

第二弾のチラシはピカソの「腕を組んですわるサルタンバンク」が使われ、タイトルの帯は赤になっていました。

ブリヂストン美術館「ベスト・オブ・ザ・ベスト」赤チラシ表 ブリヂストン美術館「ベスト・オブ・ザ・ベスト」赤チラシ裏

ピカソの作品はわりと数が多く、時代の移り変わりを感じる展示になっていました。

チラシの裏面で紹介されているのは、セザンヌ「「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」、ルノワール「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」、ジャクソン・ポロック「Number 2」、安井曾太郎「薔薇」、下段にはマネの「自画像」(マネは自画像を2作品しか描いておらず、その内の1枚がこの作品だそうです)、ルオー「郊外のキリスト」、モネ「黄昏、ヴェネツィア」、藤島武二「黒扇」、です。

第三弾のチラシは青木繁の「海の幸」が使われ、タイトル帯は青に変わり、裏面の作品紹介も前回と比べると少し変わっています。

ブリヂストン美術館「ベスト・オブ・ザ・ベスト」青チラシ表 ブリヂストン美術館「ベスト・オブ・ザ・ベスト」青チラシ裏

ルオー「郊外のキリスト」、藤島武二「黒扇」の代わりに、同じく藤島武二の「天平の面影」が掲載されています。この「天平の面影」も後期からの展示作品です。

会場でいただいた冊子(ガイドブック)によると、石橋財団コレクションは現在2,585点あるそうで、そのうち東京のブリヂストン美術館には1,625点、あとの960点は福岡県久留米市にある石橋美術館にあるそうです。(青木繁の「わだつみのいろこの宮」や「海の幸」も石橋美術館の管理作品です)

今回の展覧会では、それらの中から選りすぐりの約160点が展示されているとのこと。

会場はブリヂストン美術館の歴史に始まり、彫刻作品や古代美術、印象派、セザンヌやピカソ、マティスやルオー、デュフィの作品も1点ありました。ゴーガン(ゴーギャン)の作品も何点かあり、ゴッホも1点。そして日本の西洋美術。

想像以上に見応えがあり、会場を3周くらいしてしまいました。

ちょっと印象に残ったのが、モネの「雨のベリール」という作品で、岩のある海岸に打ち寄せる波の情景を描いているのですが、その絵を背にして向かい側の部屋に抜けると、そこには青木繁の「海景(布良の海)」という、岩に打ち寄せる波の情景を描いた作品があったことです。

ベリールはフランスのブルターニュ半島にあり、布良は日本の千葉県にある海岸なので、それぞれずいぶんと離れたまったく別の場所の風景なわけです。

順路に従って見て行くと「雨のベリール」の方を先に見てから、「海景(布良の海)」を見ることになるのですが、強烈な既視感がありました。「あれ?ついさっき見たような光景がまた?」みたいな。これはちょっと不思議な感じで、個人的には面白い体験でしたけど。

青木繁といえば、グッズ売り場では後期展示の「わだつみのいろこの宮」と「海の幸」のポストカードが売り切れていて、在庫入荷なしとなっていました。近くにいたお客さんたちは「あー、もうないんだ~」と残念そうでした。私も「わだつみのいろこの宮」なら、あったら買っていたかもしれません。

ポストカードは価格が安いこともあり、デュフィのも含めて何枚か買いました。
そういえば藤田嗣治の「猫のいる静物」という作品も気になってポストカードを購入。

藤田嗣治といえば、レオナール・フジタとしても知られているわけですが、私のイメージでは全体的に黄色味がかったオフホワイトな色と黒が多くて、細い線で絵が描かれているという感じで、カラフルな印象はまったくありませんでした。

「猫のいる静物」も確かに黒い背景に薄く黄色がかった木製の棚が描かれているのですが、そこに置かれた野菜や果物が意外にカラフルで、らしくない作品だな~と。

さて、私が行ったのは閉館の約2週間前だったのですが、閉館が近いということでお客さんも多く、午前中の早目の時間に行ったのですが、建物に沿ってぐるっと人が並んでいてちょっと驚きました。会場を出たお昼くらいには列はなくなっていましたが、最終日はかなり混みそうですね。

ブリヂストン美術館(2015年)

通り沿いのショーウインドウでも、代表的な作品が紹介されていて、会場の外に出ても改めてじっと見てしまいそうになります。

ブリヂストン美術館(2015年)

単なる改装ではなくビルそのものの建て替えるので、数年かかるのも致し方ない。

「未来の美術館に向けて、まもなく休館。生まれ変わる前に、ぜひもう一度」

これはチラシに書かれていたキャッチコピーですが、
ブリヂストン美術館が未来の美術館に生まれ変わるの楽しみに待つとしましょう。

ブリヂストン美術館は本展をもってしばし休館

●コレクション展「ベスト・オブ・ザ・ベスト」
 会 期: 2015年1月31日(土)~2015年5月17日(日)
 会 場: ブリヂストン美術館
 時 間: 10:00~18:00(金曜は20:00まで)
 料 金: 入場料 一般800円